某航空会社機上での安全阻害行為、第三者視点でまとめてみた

さて、タイトルを見ていただいてもわかる通り、とあるしがない増田がこのような記事を書いている訳なのですが単刀直入にまずは経緯から。 

 

■経緯

タイトル通りと言えばタイトル通り。

  • いまさらながらとはいえ、今回の件に関して「何が起きて何が問題なのかを整理したい」と第三者として感じていた。
  • 件の本人のTwitterやblogへの主張のみでは問題の本質のごまかしやすり替えが多く、冷静に論点を絞りたいと思ったから。

…ということで、当該機に乗り合わせたわけでもない人間が今時点で蒸し返すことも含め、余計なおせっかい(老婆心)であることは重々承知の上でなるべく簡潔にまとめるよう留意したけど、(※本人のよりかは文字数少ないですが)めちゃくちゃ長いのでその点はどうかご容赦ください。

 ■参考記事(本人の詳述関連のみ)

news.yahoo.co.jp

blog.livedoor.jp

※その他、乗り合わせた乗客のblog記事も参照。 

 

 ■当該機

ピーチ・アビエーション126便 釧路発関空行(定刻 12:30発 15:00 着予定)

 

 ■時系列
12:10頃? 天候不順(濃霧)により機材到着遅延

12:45~13:00頃? 乗客の搭乗開始(※ここで最初のトラブルが発生マスク着用及び籍移動の指示を拒否し、乗務員の要請に応じた周囲の乗客が移動。乗務員からの1回目の警告を受ける?

13:16 定刻から46分遅れで当該機は釧路空港を離陸
13:45頃 高度36000ftまで上昇

(※この後、シートベルサインが消えたタイミング以降で彼への乗務員の対応が4~5回発生、その後、安全阻害行為による降機命令を本人へ通告)

14:20頃 関空へのルートを外れ、当該機が新潟空港への降下を開始
14:40頃 当該機、新潟空港に臨時着陸
(スポット到着後、本人は降機を拒否するも地上係員に促され機外へこの時、降機した機内に戻ろうとして乗務員と揉みあいが発生したっぽい?)
 16:00頃 当該機は新潟空港を離陸
 17:15頃 関空に定刻から135分遅れで到着

(flightrader24で当該機の状況に関して時刻等追えるところは可能な限りその情報をもとに記載。一部は乗り合わせた乗客の方が書かれていたblog記事等を参照したうえで、推察した時刻を記載。)
※降機した本人は、地上係員にも対応への説明を再三要求したもののまともに取り合ってもらえず、新潟で1泊後、翌日陸路で関西空港まで移動し、この件の対応についての確認をピーチのカウンターで行ったそうですが、ここでは割愛で。

 さて、本題。

ここでの前提として、機内でのやりとりにおける法的根拠においては、乗務員や係員によって航空法や航空会社各社の運送約款*1の適切な運用がされていることをベースに進めていきます。

また、国内航空会社を会員企業としている定期航空協会において、2020年6月5日時点でのプレスリリース*2にて、感染症拡大防止の観点から空港内及び機内での原則マスク着用について旅客への協力をお願いする旨を周知し、これに沿う形で日本の航空各社も横並びに各種対策や旅客への協力についてのお願い(指示)を、約款や法律の下で適切に周知、運用されていることを前提として進めましょう。

では…。
既に本人が受けたインタビューやその主張を含め、各種証言を客観的に読み解いていくと以下の点については、事実認定されているものと推察できる状況にあると思います。

  1. 離陸前から客室乗務員のお願いについては「拒否」を繰り返していた。
  2. 離陸後執拗かつ断続的に客室乗務員への要求や主張を繰り返した。
  3. その言動については、周囲の乗客が終始不安・不快感を覚えるほどのものだった。
  4. 結果、これらの一通りの言動が「安全阻害行為」として認定され、命令書を発行されることになった。
  5. 命令書発行後もその内容に従うそぶりはなく、新潟空港に臨時着陸後降機させられることになった。

まずは1について。
Youtubeに上がっている動画でこれは明確に「事実」と言えるでしょう。
あの動画だけ見ていても、腕を組んだ状態での応対や「お願いは承りましたが~しません。」という独特の言い回しはともかく、客室乗務員や係員の指示に従おうということは確かにしていません
結局この時は周囲の客が移動する形で問題は解決したようですが、この時点でマスク着用云々に関係なく、乗務員(もしくは係員)から「指示に従わないなら降りていただく」という警告が出されているように見えます。動画を見る限り、それ以前の「お願い」も含めて努めて真摯な形でされていますね。
(これに関しては奥尻での件も含め、航空法や運送約款における「乗務員の業務を妨害し、指示に従わない」ことに対して降機についての警告や命令を出すことができる、と言えるんじゃないでしょうか。)

続いて2について。

これ以降は参考記事で取り上げた本人のインタビュー記事での発言を引用しながらで。

まずは、

客室乗務員が脇を通ったので、先ほどの乗客が謝罪したのか、マスクの着用についてピーチの運航約款ではどのように定められているのかを質問~(中略)~明確な回答がなかったので5分ほど座席で抗議

ここで解決しなかったのか、そのまま以下のような状況へ。

機内後方の客室乗務員の詰め所に案内され、そこでも同様の質問を続けました。

本人曰く、後方の詰所で2回このような行為を行ったとのことですが、「同じことを2回繰り返し聞いた」のか「1回確認し、座席に戻って再度詰所に行ってもう一度要求したのか」までは読み取れず。
とはいえ、乗り合わせた乗客の証言でこの時「3人の乗務員を相手に」とあるため、1回の要求で5分」としても、最初の対応と合わせ15分」は(内容に関係なく、乗務員の本来の職務執行ができない状態という意味で)確実に客室乗務員の保安業務を繰り返し妨害したことになる状況ですね。


その後についても本人のインタビューにて、

客室乗務員が複数いる詰め所で質問を続けていると、座席で答えると言われ従いました。しかしその後も回答はなく、再び呼び止めて座席で質問を続けました

とありますので、乗務員が彼への対応に追われた時間はさらに上乗せされているとみてよいのでしょう。
(これに関してだけは増田の勝手な推測でしかないですが)乗務員のこの時の「座席で答える」という回答に関しては、この数の乗務員の業務が彼一人の対応に妨げられている」という状況をいったん収めるためだったのだろうな、と見ています。
本人としては「その言葉を額面通りに受け取る」ことになり、結果的に再度執拗に要求を繰り返した…と考えたら、まぁ(ある意味では)筋が通る事にはなるのだとも思いますが、多くの乗務員の方が臨時着陸に伴う降下までの大半の時間彼のみの対応に取られていることは想像に難くないかと。


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※10/19 追記 本人のBlog記事更新により計3回(座席で1回、詰所で2回)合計15分 CAの業務を中断させ、事の対応に当たらせたことが事実として判明しました。 
席での抗議と1回目の詰所での抗議で合計5分…とのことで、そうするとインタビューとの整合性が若干取れないような気もするのですが、いったんは本人の弁を尊重したいと思います。
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3については、一部本人に対して同情する行為も少なからずはあった(離陸前の暴言、退去時の拍手etc) ものの、乗り合わせた乗客のTwitterやnoteでの記述を参照すると

・(離陸前の席移動で)彼への恐怖心から申し出れなかった
・機上で睡眠をとっていたところ途中で目を覚ますほど乗務員とのやり取りに関して異様さを感じていた

という記述をされている方がいらっしゃいますので、(これらが事実なのであれば)機内での周囲の状況としては不安感、不快感を感じていた、と客観的に感じ取れるのではないでしょうか。

 で、これらの行為、状況が積もり積もった結果として

すると客室乗務員の総責任者と話してほしいと提案があり、~(中略)~総責任者の客室乗務員の女性からは回答がないばかりか「途中で降りていただく」という発言がありました。

 と、航空法第73条の4第5項に基づく「命令書」が発行されることになったのも致し方ないのかもしれません。
※本人のTwitterでも写真が明確に出てるし、(実際に形はどうあれ新潟で降機しているので、言い逃れはできないと思いますが)該当の命令書には「航空機に乗り組んでその職務を行う者の職務の執行を妨げる行為」チェックが入っていることも確認できます。

この4.についてはTwitter上でも現役や元を問わず客室乗務員の職務に当たられている方が以下のように、安全阻害と判断する基準を挙げられています。

 

「今何をしているか、今何を発言しているか」

ちなみに、以下に挙げる行為を行っていると安全阻害行為と受け取られるそうなので、良識ある本ブログ読者の方はぜひ覚えておいて、快適な空の旅を楽しみましょうね。

【一例】
・大声を出す、まくしたてる、責め続ける、暴言をはく、土下座などを強要、手をあげる、物を投げる
(丁寧で声が小さくても)長時間乗務員を拘束する
※ちなみに、命令書発行前には必ず乗務員から「おやめください」などの発言もあるのだとか。
 …であれば、今回の件もどこかのタイミングで彼にもその旨の乗務員からの警告はされているのでしょうね。
 (事実関係ハッキリさせたいので、このあたりの話補強できる証言はいつでもお待ちしています。)

従って、乗務員によるこの命令書の提示をもって彼の一連の執拗な言動が航空法における「安全阻害行為」にあたる状況であると航空会社がみなし、同時に降機命令も有効になったという点が第三者としての増田の理解です。機内での乗務員(機長)の指示・命令は絶対ですし、ここで仮に威嚇や妨害行為があったとしても何の意味も成しません。

命令書を何度もペンで叩き大声で妨害したところで、結局は無意味でしかないのです。
(この辺の解説などはいくつか弁護士さんが取り上げているYoutube動画を見れば、概ねその内容も理解できるかな、と。そのための契約としての約款であり機内の安全を守るための法律だと思います。)

結果、5の通り当該機は新潟空港に臨時着陸することとなり、彼は地上職員に促される形で途中降機処分となりました。
もちろん途中降機となった以上、再搭乗は認められないのが航空法第73条の4項の中で定められているようですので、「一時降機」という言い訳はちょっと苦しすぎますよね。


…とまぁ、乱筆乱文な感じにはなってしまったけども、(言動の詳細や中身、態度に関係なく「客観的」にですが)これがざっくり第三者として記事や本人、周囲の状況をまとめさせていただいてみました。


ひとまずは、「降機対応に伴う裁判、このあと起こされないといいですね」と案じつつ、ご本人が身勝手な主観に依らない事実関係の整理をいつかしてくれるであろうことを、勝手ながら草葉の陰から見守りたいと思います。

それでは。

*1:

そもそも「航空法での安全阻害行為って何が該当するんだっけ?」という方は、こちらを。

航空法第 73 条の 4 第 5 項関係参照条文

航空各社の約款は以下を(例として鶴丸さんのサイト使わせてもらってます)

国内旅客運送約款-JAL国内線-7月1日

※繰り返しますが国内主要各社に関しては、細かいニュアンスの違い等はあれど基本的に同じ内容が定められている状態です。

*2:http://teikokyo.gr.jp/pressrelease/498/#section-1